相場を知って買取で実家を売却するには?流れや必要な手続き費用も解説

買取

宮宇地  秀樹

筆者 宮宇地  秀樹

不動産キャリア16年

ご実家を相続された方の中には、売却の方法や手順、費用について不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。特に「買取」という選択肢に興味がありながらも、「相場はどう調べるのか」「手続きは複雑なのか」といった疑問が付きまとうものです。この記事では、相続した実家を買取で売却する際に知っておきたい相場の把握方法や必要な手続き、費用の概要、そして買取ならではのメリットや注意点まで、分かりやすく整理してお伝えします。はじめてでも迷わず進められるよう、具体的な流れやポイントも丁寧にご説明しますので、ぜひ参考にしてください。


実家を買取で売却する際の「相場を知る方法」

まず、固定資産税評価額や公示地価、路線価といった公的な指標から、実家の相場をおおまかに把握できます。実際の売却価格とは差があるものの、売却前の目安として役立ちます。例えば固定資産税評価額は市区町村が算出する評価額、公示地価や路線価は国や国税庁が公表している指標です。これらを組み合わせることで、売却価格の概算を自分でつかめます。

次に、不動産鑑定士による査定依頼についてですが、正式な「不動産鑑定評価書」は、20万円以上が一般的な相場です。簡易な「調査報告書」であれば、さらに費用を抑えた数万円から依頼可能で、信頼性も確保できます。不動産鑑定士に査定を依頼するかどうかは、精度と費用のバランスからご判断いただけます。

さらに、複数の買取会社に査定を依頼することで、相場を掴みやすくなり、交渉の材料にもなります。買取査定は業者によって金額が異なるため、複数の見積もりを比較することで、より高い価格を引き出すチャンスが広がります。一括査定サービスを使うと、手間なく複数社に査定依頼でき、適正価格の把握もしやすくなります。

方法内容メリット
公的指標(固定資産税評価額・公示地価・路線価等)市町村や国が公表するデータをもとに相場を概算無料で手軽に目安が分かる
不動産鑑定士への鑑定依頼正式な鑑定評価書や簡易報告書の取得信頼性が高く、裁判資料にもなる
複数の買取会社への査定依頼複数業者による同時査定、一括査定サービス活用価格比較ができ、交渉力が高まる

このように、公的指標での“自力概算”、鑑定士による“高精度な評価”、そして“複数査定による比較”という三つの方法を組み合わせて進めることで、安心してご実家の売却相場をつかむことができます。

相続した実家を買取で売却する際に必要な手続きと費用のポイント

相続した実家を買取で売却する際には、たくさんの手続きや費用が伴います。ここでは、とくに重要なポイントを整理してみました。

まずは「相続登記」の義務化です。令和6年4月から、不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を行わなければならず、怠ると過料(10万円以下)が科されるおそれがあります。登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%が目安です(例:固定資産税評価額5,000万円なら20万円)。司法書士に依頼する場合は、報酬として数万円~十数万円(一般的に6万~15万円程度)がかかります。また、戸籍謄本などの取得費用も数千円から数万円程度となります。

次に、売却に伴う主な費用として、以下のような項目があります:

費用項目目安金額
測量費用(境界確定等)現況測量:10~45万円/境界確定測量:約30~80万円、場合によっては50~150万円
残置物処分費用30~80万円程度
建物解体費用木造住宅:100~300万円、鉄骨・RC等はさらに高額

測量費用は土地の境界があいまいな場合に必要で、「現況測量」と「境界確定測量」があり、後者は高額になる傾向があります。残置物処分は家具や家財などが残っている場合に発生し、量によって費用は変動します。解体費用は建物の構造や広さにより変動があり、木造住宅であればおおよそ100~300万円が一般的です。

こうした手続きや費用を事前に把握しておくことで、トラブルを避けたり、計画的な資金準備が可能になります。例えば費用見積もりなく進めると想定外の支出が発生し、資金繰りに影響を及ぼすこともあります。事前の準備によって、安心してスムーズに売却を進める助けになるのです。

買取による売却のメリットと適したケース

まず、築年数が古い実家や遠方の実家では、一般的な売却よりも買取方式が向いています。築年数がかなり経過している建物は、買い手がつきにくく、売却までに時間がかかることが多いのです。しかし買取であれば、不動産会社が直接購入するため、築年の古さや立地の不便さを気にせずに売却できます(※Google検索による複数の日本語情報をもとに整理しました)。

さらに、買取方式には売却のスピードや手間が大幅に軽減されるという大きな利点があります。一般売却では、買い手を探し広告や内覧、条件交渉などが必要ですが、買取ではこうした複雑なプロセスや期間を大幅に短縮できます。特に遠方にある実家を売る場合は、現地に頻繁に足を運ぶ必要がなく、時間と労力を節約できる点が魅力です。

加えて、税制上のメリットにも注意が必要です。「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除(空き家特例)」は、相続した実家を売る際にも適用される可能性があります。令和9年(2027年)12月31日までの譲渡が対象で、売却方法が買取であっても条件を満たせば適用可能です。また、令和6年(2024年)以降は、相続人だけでなく買い手による耐震改修や取り壊しでも要件を満たすケースが認められるようになりました(売却の翌年2月15日までに施工・証明書取得が必要です)。

これらを整理した表を以下に示します。

項目 内容
適したケース 築年数が古い実家、遠方にある実家など、一般売却が困難な場合
メリット 売却が早い、手間が少ない、広告・内覧の必要がない
税制上の利点 空き家特例(3,000万円控除)の適用可能性あり、改修や解体が買い手でも可(2024年以降)

④ 初めて実家を買取で売却するお客様へのステップガイド

初めての実家買取、何から始めたらよいか迷ってしまう方でも安心できるよう、段階ごとの流れをリズミカルに整理してご案内します。

まずは、相場を確認することからスタートです。固定資産税評価額や公示地価、路線価などを参考にして、売却の目安をつかみましょう。そのうえで、相続登記を行って名義を正式に変更し、売却可能な状態を作ります。相続登記には必要書類の収集や登録免許税(評価額の0.4%が目安)が伴いますが、司法書士に依頼すれば手間を大幅に減らせます。

ステップ内容ポイント
1. 相場確認公的資料を元に売却の目安を知る事前把握で安心、交渉の材料にもなる
2. 相続登記名義を相続人に移す登録免許税は固定資産評価額の0.4%、司法書士依頼で手間削減
3. 査定依頼複数業者に見積もりを取る比較することで納得の価格を引き出せる

ここからさらに安心して進めるための工夫として、相続手続きや売却に不安を感じたら早めに専門家に相談しましょう。例えば、司法書士は相続登記の進め方から必要書類の確認までしっかりサポートしてくれます。また、税理士に相談すれば、譲渡所得税や印紙税、控除制度などの税務面も整理できて安心です。

最後に、信頼できる買取先を選ぶための心構えです。見た目だけで判断せず、提示価格の根拠や契約条件を丁寧に確認してください。複数業者の査定を比較しながら、「納得できる価格」と「安心できる対応」の両方を大切に判断しましょう。

まとめ

相続した実家を買取で売却する際は、相場の把握や必要な手続き・費用を事前に確認することが大切です。相場の目安は固定資産税評価額などから計算でき、不動産鑑定士へ依頼することで精度を高められます。また、複数の会社へ査定を依頼することで、より納得できる条件を見極められます。登記や測量、処分費用など必要な手続きを把握し、計画的な資金準備ができれば、実家の売却も着実に進められます。築年数や立地の状況によっては買取が最適となり、速やかな現金化や手続きの簡略化も期待できます。不明な点は専門家へ相談し、安心できる買取先を選ぶことが大切です。

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